オンライン説明会 質疑応答 現役ブース

 明けましておめでとうございます。本年も東京大学運動会剣道部をよろしくお願いいたします。さて、昨年11月に行われましたオンライン説明会では高校生から寄せられた質問に現役部員が答える質疑応答のパートを設けました。そこで行われたやり取りの記録をここに載せます。ブログ読者の皆様方(とくに受験を控えた高校生・既卒生)のお役に立てれば幸いです。

 この投稿では、東大に現役合格した部員を集めたブースの様子を取り上げます。高校時代、部活をやりながら勉強をうまくこなした部員たちがどんなことを考え、どんな勉強をしていたのか、東京大学で過ごすとはどのようなことなのか、そういったことがなんとなく分かってくるようになるのではないかと思います。



【現役ブース】

Q1. 理科一類で平均80点取るのはどのくらい難しいか。

・80点は相当勉強しないと取れない。大学の上位2,3割ということ。遊んでたら取れないが、部活に入っていたとしても頑張れば取れると思う。80点あれば医学部以外の学部学科なら大体行ける。


Q2. 進路や進振り(*1)で悩んだか。

・東大っていうのは進路と直面することが特に多くて、東大に入るまではもちろん、入った後も進振りがあるし、卒業するときにも就職するか院に進むかっていうのもある。理系は院に進む人は多いし、文系にも院に進む人や司法試験を受けようとしてる人がいる。


Q3. 部活のある時期は1日何時間勉強していたか。

・部活がある日だったら、自習で3時間くらいできていたらいい方だったと思う。通学の隙間時間を使ったり、部活後に学校の自習室で勉強したり、家に帰ってからちょっと勉強したり、細かい積み重ねが大事だと思う。

・通学に1時間半かかったりしてたのもあって、家に帰ったら寝てしまうので、外のカフェなどで勉強したりしてました。共通して言えるのは、家に帰ったら疲れて寝ちゃうってことなので、家じゃない場所で勉強するのは大事。


Q4. 学部が決められないが、この学部でないとこの職業になれないみたいなのはあるか。

・法学部でも民間企業に就職する人が多数派。官僚になる人もいて、剣道部では毎年一人くらいは官僚が出ている。教職(*2)を取る人もいるけど、その場合は1、2年の時に人より難しい科目を取らなきゃいけなくて、辛いかも。

・理系の場合は、この学部じゃないとこの仕事につけないってことはほとんどない。それこそ医者とかくらい。理系はみんな大体大学院に進んで、修士までは終える。博士に行くかは人による。(*3)

・免許がいる職業は特定の学部じゃなきゃきついけど、それ以外は大丈夫だと思う。


Q5. 文理をどうやって決めたか。

・科目の得意不得意で決めた。

・本当は文系の仕事に就きたかったが、理系科目の方が得意だったので、理系にして、文転できるように今も勉強している。

・東大の大きな利点として、大学入ってからも文転、理転ができることはあると思う。

・東大は入ってからでも文理変えられるよってのは結構聞くが、理転と文転じゃ結構難易度違う。理転するときには取らなきゃいけない科目とかあるけど、文転するときにはそういうのないので。周りの話も聞いてると、やっぱり理転は結構きついみたい。

・後期教養(*4)って進路を決められなかった人の受け皿になってるみたいな印象はある。比較的理系っぽいことをやる学科でも、あんまり取らなきゃいけない科目とかがなかったりする。


Q6. 文理選択で失敗したことなどはあるか。

・周りには、理系選んだけど数Ⅲがキツくて理系挫折しちゃったって人がいた。逆にそこさえ乗り越えれば、理系は問題ないと思う。

・理系特有の科目とかは結構文理選択の要素に入ってくる。


Q7. 東大を受けた理由はどんなものだったか。

・農学部に入りたかったんだけど、農学部って結構ないとこもあるから、農学部に行くんだったら東大かなと思った。

・模試の判定から東大に来る人もいると思うけど、ここでしかできないことをするために来てる人もいる。周りにも歴史がやりたくて東大に来たって人もいたし。そこは人それぞれだと思う。国家公務員になりたいなり、剣道部に入りたいなり理由はなんでもいいと思う。


Q8. 地方の公立から現役合格するのは厳しいか。

・クラス(*5)には三重の伊勢高校、福岡の高校から来た人もいた。うちの部にも楠隼高校っていう鹿児島の全寮制だった学校から来た人もいる。一番大事なのは最後まで続けられるかだと思う。都会だったら、みんな周りが東大とかを目指すから結構モチベが保たれるんだけど、地方だと頭が良くても地方の国立に進むことを選ぶ人もいるわけで。地方だと都会の人よりはきついかもだけど、最後までモチベを保てるかどうかかな。

・現役っていう点から見ると、現役でどうしてもいきたいという人はきつい面もあるかも。一方、意外と受けてみたらいけたりもする。ずっとE判定だったけど受けてみたら受かったって人もいたし。最後まであきらめないことがやっぱり重要だね。


Q9. 受験前と受験後でどっちが大変か。

・東大で一番勉強するのは入った直後の、1Sセメスター(*5)だって言われてるね。

・きついのは大学受験。高校三年間のまとめが出るわけだし。私はまだ一年の後期だけど、今のところは大学受験よりきついと感じたことはない。

・私は一年最初の時期で遊んで失敗したんだけど。質的にきつい部分はないけど、舐めてると痛い目を見ると思う。高校の定期試験ぐらいの勉強をすればどうにかなると思う。

・Sセメは第二外国語(*6)の勉強も大事。

・結局、一番大事なのはモチベーションだと思う。大学受験の時の方が高い目標があると思うんだけど、大学入ってからはそこまでのものがないから、勉強を続けられるかどうかだと思う。


Q10. 東大以外ではどこを受験したか。

・文理で迷ったということもあって、慶應経済は理系が数学受験できるので、そこも受けた。実際、周りに東大の理系で落ちて慶應経済行った人もいる。

・MARCH(*7)受ける人もたまにいるね。僕は一橋の後期経済受けたね。

・京大の法学部の特色検査とか受けた。

・後期だと北海道大の法学部とかもあるみたい。

・要は私立受けたり、国立の後期受けたり、特色検査とか受けたりって感じだと思う。ただ、前期試験が終わった後は結構勉強のモチベが落ちちゃうと思うから、そこで維持できるかどうかだよね。逆にそこで頑張れたら、大学で頑張る力にもなると思う。


Q11. 参考書はどんなものを使っていたか。

・英単語帳は人によって別れる。私は『東大英単語熟語 鉄壁』(KADOKAWA)をやっていた。

・鉄壁は結構みんながやる気がする。僕のお勧めとしては、『英単語ターゲット』(旺文社)シリーズの有料のアプリ版とかは使いやすかった。

・僕は数学苦手で、大学入ってからも全くやらず、縁を切ってるような状態なんだけど、『1対1対応の演習』(東京出版)ってシリーズがお勧め。問題を見て最初の数秒くらいは手を出せる、くらいの力はつく。結局僕は受験までずっとこの問題集回してて、本番では0完だったけど、部分点を稼いでどうにかなったね。

・学校で配られる問題集をやってたんだけど、後悔してる。同じ難易度でも、『基礎問題精講』(旺文社)シリーズみたいな丁寧なやつをやればよかったなって思う。

・国語は難しい。古文単語なら、『読んで見て覚える重要古文単語315』(桐原書店)やってたけど。

・『古文単語330』(いいずな書店)


Q12. 参考書はどうやって使って勉強すればいいか。

・問題集って読んで解くタイプと、問題集的なのがあると思うんだけど、そのどっちかで変わってくるかな。ただ、どちらにせよ理解することが大事かも。僕のやってた問題集は、解答の説明がなくて、ひたすら回しててもただの暗記になっちゃってた。理解しないままやり方を覚えるだけになっちゃうのは怖い。

・理系の数学だと、問題を解いても1ヶ月後になると忘れてたりするので、一度解けなかったところや、もっと綺麗な解法があったところを一週間後に復習してました。二回やるのは大事だと思う。

・英語って単語さえわかっときゃ解けるみたいな側面があって。躓いてる人のほとんどは単語だと思う。だから単語帳の使い方を変えるとか、ちゃんとやるのは大事かな。むしろ1日長文解いたりしても、個人的にはあんまり意味ない気がする。アウトプットばかりになるのはよくない。英文法で言うと、『スクランブル英文法・語法』(旺文社)、『英文法・語法Vintage』(いいずな書店)などの四つの選択肢系の問題集があったと思うんだけど、僕的にはそれよりも、僕の使ってた『深めて解ける英文法』(学研)シリーズみたいな、学校の先生の授業みたいなことが書いてある参考書がいいと思う。覚えたもののアウトプットにみんな偏りがちなので、インプットにも重きを置いた方がいいと思う。


Q13. 文理選択の結果によってやらなくなる科目はあるか。

・文系選んでからは発展系の理科はやっていない。

・高校による。高二から文理で分かれていたが、高二からも社会の、受験で使わない科目もやったりしていた。でもあんまりちゃんとはやらなかった。

・大学受験のことだけを考えるなら、受験科目以外を切ると言うのは一つ選択肢。答えとしては、文理選択によってやらなくなる科目はあると思う。


Q14. おすすめの勉強法はあるか。

・好きな科目を後ろに回していた。勉強は嫌いなものを先にやっちゃうのがいいと思う。受験期とかに9時間、10時間勉強することになると特に。1日のなかでできるだけ全科目回すようにしていた。あと、英語だと辞書を引くのがおすすめ。単語帳に載ってないけど、よく出てくる用法とかも覚えられたりするので。あとは辞書を引くときにスペルミスとかにも気付ける。めちゃくちゃ面倒だけど、慣れると強いと思う。より頻繁に出てくる単語を覚えられるようになるし。


Q15. 計画を立ててやっていたか。

・一週間くらいごとに立てていたかな。あと、科目ごとに散りばめてたてておくのがいいかも。ガチガチに立てすぎると、遅れると取り返しつかないと思う。

・ここにいる人はみんな予定立てて勉強してたけど、それは人とか時期とかにもよっても変わってくると思う。


Q16. モチベーションの維持はどのようにしていたか。

・招待試合でもらった東大の手ぬぐい(*8)を部屋に飾ってモチベを保っていた。

・受験200日ぐらい前から毎日500円貯金をしていた。受験終わったら使うぞ!って。100000円ためてゲームしたいなって思ってて。そうすると貯金の溜まり具合から受験が近づいてくるのとかもわかるので、よかった。

・友達同士でコンタクトを取り続けるのは大事かも。自分一人で頑張るよりも、仲間と頑張るのは大事だと思う。

・受験仲間とはそこで仲が深まって、関係続いたりもする。スタディアプリっていう、友達との勉強時間をお互いに見ることができるアプリをやっていた。


Q17. ゲームはどのくらいまでやっていたか。

・中学時代はモンストしかしてなかったんだけど、高二で危機感感じて消した。バックアップもなしに。ソシャゲはそれがいいと思う。

・周りには、ツムツムを受験期のストレス解消として隙間時間にやってる人がいた。そういうのは人によってはアリだと思う。

・受験前はゲームをかなりやり込んでいた。一気に切るのはキツかったので、段階的に切っていった。あと、スマホだとスクリーンタイムでやってた時間を見れるんで、それをみて減らしていくのはいいかも。

・ゲームに限らず、SNSを切るのとかも大事。切り方は、人によって一気に切ったり、段階的に切ったりって感じだと思う。

・休み時間にYouTubeで音楽聴くのを楽しみにしていた。

・YouTuberとかは見るのやめたほうがいいかも。のめり込んじゃうから。



【注】

*1「進振り」:東京大学では、受験時には学部学科を決めません。みな「教養学部前期課程」というところに所属します。その代わり、「科類」というものを受験時に選択しなければなりません。まず「文科」と「理科」に分かれ、そのなかでさらに「一類」・「二類」・「三類」に分かれます。その科類に所属しながら駒場キャンパスで2年間を過ごしたあと、それぞれの学部に分かれ、本郷キャンパスへ進学したり、駒場の後期課程に進んだりします。とはいえ、学部・学科のキャパシティ的に進学希望者全員を受け入れるわけにはいきませんから、前期課程の成績により順位付けがなされ、なかにはふるい落とされる人もいます。これが、進学振り分け、略して「進振り」というものです。

*2「教職」:学校の教師になるのには資格が要ります。日本国憲法や情報、それと教育系の授業など、取らなければならない授業がいくつかあります。

*3「修士」・「博士」:学位というものは、学士・修士・博士の三つがあって、それぞれに学部・大学院修士課程・大学院博士課程が対応しています。

*4「後期教養」:東京大学の教養学部は前期課程と後期課程に分かれています。

*5「セメスター」:東京大学では、一年をSとAの2「セメスター」に分けます。高校までの「学期」と同じようなものです。1年の4-7月を1S、2年の9-1月を2Aといった風に呼びます。さらにセメスターを2つに分けることもあり、「ターム」という名前がついています。

*6「第二外国語」:東京大学教養学部前期課程では、必修科目として「第二外国語」というものがあります。大体の学生が英語を第一外国語として高校時代に引き続き勉強し、その他にフランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、ロシア語、中国語、韓国朝鮮語のうちから一つを選んで勉強することになります。ちなみにクラスもこの第二外国語によって振り分けられます。理一6組ロシア語クラスといった感じです。

*7「MARCH」:明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学の5大学を指す通称です。

*8「東大の手ぬぐい」:毎年2月頃に七徳堂で高校招待試合というものを行います。部員の母校などが参加し、部員が審判を担当します。そこで参加賞として配っているのが「道於遊」(右から読む)と書かれた手ぬぐいです。また、この手ぬぐいは新入部員にも贈られます。

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