オンライン日誌傑作選<第一回>

 昨年夏、部活動の再開許可が下りるまでの自粛期間に、東大剣道部では「オンライン日誌」という取り組みを行っていました。毎日、各学年ひとりずつが日誌を担当し、決められたお題と自由テーマの両方について書くというもので、普段あまり触れることのない各部員の剣道観や理想あるいは葛藤などが見られ、なかにはハッとさせられるような考え方が見られた一方で、それぞれの部員が家にいてひとりで何をしているか、どんな面白いことがあったかを報告する文章を読んでいると、まるで書いている人の顔が自ずと浮かび上がってくるかのようで、直接会えない寂しさを紛らわすのにも役立ちました。

 そんななかから、これはおもしろいというものを部員が選び、ここに公開したいと思います。もちろんきわめて内輪向けに書かれたものですから「何が何だかちんぷんかんぷん」という印象を持たれるかもしれませんが、東大剣道部のなかの雰囲気を知るにはちょうどよい資料となるかもしれません。

 記念すべき第一回は、2020/7/2に二年生の石井優人が書いた日誌です。「印象に残った他の部員の一本」・「自分が剣道部に入った理由」・「自由記述」の三本立てとなっております。先輩の試合を後輩が批評するという企画自体もかなり面白いと思うのですが、何より彼と同期とのライバル(?)関係が見どころでしょうか。



【2020/7/2 石井】

1.印象に残っている試合

前回と同じくまた全日本(*1)からなのですが、今回は1回戦の延長戦、松浦先輩(昨年の4年生の先輩)の試合です。2回戦の延長戦も緊迫していましたが、こちらの試合もとんでもなく緊迫した試合でした。松浦先輩の得意な(私が勝手にそう思っているだけかもしれませんが)、相手の面に被さるような出鼻面がきれいに決まっています。私も稽古のとき、このような面を打たれまくってぼこぼこにされてました。10分以上の長い試合で、なかなか松浦先輩の狙う面に相手が飛び付いてくれず、松浦先輩の面でも効かないなんてもしかしたらこの試合ヤバイんじゃないかと失礼ながら思ってしまったのですが、実際稽古のとき私もよくそうなっていたように、先輩が出鼻の面を狙ってくるとわかっていても相手としてはどうしようもなく、我慢しきれず不用意な面をうってしまったのでしょう。やはり1つでも得意技がある人は強いなと思いました。


2.なんで剣道部に入ったのか

私の高校の恩師である小川先生から、剣道部に入れと言われたのが一番のきっかけといえばそうなのですが、結局私としてもそれに対してさして抵抗はなかったし、どちらにせよ剣道部に落ち着いていたきがします。なんだかんだで剣道が好きだから剣道をやっているということだと思います。


3、自由記述

女子部員のランキングでイカ東(*2)1位と変人2位をとりました。イケメンと彼氏にしたいは一票も入っていませんでした。「1位はまああの人で、2位はうーん、まああいつか、3位はもうだれでもいいや」的なノリでおこぼれの一票くらい入れてくれてもいいのではないでしょうか?ういにだけは負けたくなかったです。



【選者による注】

*1「全日本」:東大剣道部は、2019年に第67回全日本学生剣道優勝大会でベスト16入りを果たしました。予選の関東学生剣道優勝大会を勝ち抜いた(ちなみにこの年は女子も全日本学生に出場しました)ときにもかなり盛り上がりましたが、この大会で勝ち上がったときはそれをはるかに超える盛り上がりようでした。

*2「イカ東」:"イカニモ"・"東大生"という二つの言葉をつなげて省略したものです。そこまではわかりますが、どんなニュアンスをもっているのかということに関してはあまり考えたくありませんね......。

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